銀行は「認知症」と判断すると、預金を凍結する法的根拠があるのでしょうか?

「認知症の疑いがあると、銀行口座はすぐに凍結されてしまう」と思われがちですが、実は“凍結しなければならない”とはっきり決めた法律はありません。
ただし、銀行は法律や制度、業界のルールをもとに、本人の財産を守るために取引を止める判断をすることがあります。

では、どんな理由で凍結されるのでしょうか。大きく3つあります。

① 本人の判断力を守るため

法律では、「自分が何をしているのか正しく理解できない状態で行った契約は無効になる」と考えられています。
そのため銀行では、「この方はご自分で判断できていないかもしれない」と感じた場合、あとから「だまされた」「そんなつもりではなかった」といったトラブルになるのを防ぐため、出金や解約をいったん止めることがあります。

② 成年後見制度につなぐため

判断力が低下した方の財産を守るために、「成年後見制度」という仕組みがあります。
家族の代わりに、家庭裁判所が選んだ後見人が財産管理をする制度です。
銀行は、本人だけでの取引が難しいと判断した場合、後見制度の利用を勧め、後見人が決まるまで口座を一時的に止めることがあります。

③ 銀行業界のルールがあるため

銀行の業界団体では、認知症の方への対応についての目安を定めています。
医師の診断書を確認したり、複数の行員で様子を確認したりしたうえで、
「医療費」や「介護費」など本人のためになる支出に限って、例外的に家族が引き出せる場合もあります。
ただし、これは法律ではなく、「各銀行が慎重に判断するための目安」です。

結論として

認知症による口座凍結は、法律で一律に決められているものではありません。
本人の判断力や状況を見ながら、銀行が財産を守るために個別に判断して行っている対応だと言えます。

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