老後不安の正体は「お金」だけではない

先日、青葉公会堂で相続終活の個別相談会を行いました。予定していた組数を上回るご来場があり、改めて関心の高さを実感しました。ご相談内容はさまざまでしたが、共通していたのは「このままで大丈夫だろうか」という漠然とした不安でした。

老後のご相談で、ほぼ必ず聞かれる質問があります。
「老後資金はいくらあれば足りますか?」

とても真面目で現実的な問いです。しかし、長年ファイナンシャルプランナーとして現場に立ってきて感じるのは、その質問の裏にある“不安の正体”は、必ずしもお金そのものではないということです。

実際に、年金額や資産額を試算し、「数字上は問題ありません」とお伝えしても、表情が晴れない方は少なくありません。なぜか。それは、多くの方が「老後不安=お金不足」と思い込んでいる一方で、本当の不安は別のところにあるからです。


お金があっても消えない不安

60代後半の男性の事例です。退職金も十分、金融資産も潤沢。年金額も平均以上で、生活費の見通しも立っていました。いわゆる「老後資金に不安のない人」です。

それでも、その方はこう言いました。
「お金の心配はないはずなのに、なぜか落ち着かない」

よくお話を伺うと、

・これからどんな生活をしたいのか具体的に考えていない
・病気や介護になったとき誰に頼ればよいかわからない
・相続の話を避けてきた

こうした“未整理の不安”が心の奥に残っていたのです。


老後不安の正体は「先が見えないこと」

老後の不安を一言で表すなら、「先が見えないこと」です。

現役時代は、毎月の収入、会社という組織、社会とのつながりなど、目に見える枠組みに守られています。しかし老後になると、その枠組みが薄れ、「なんとなく不安」という形で心に残ります。この曖昧さこそが、心を落ち着かなくさせるのです。

相談を通じて見えてきた老後不安は、大きく3つに分けられます。

① 見通しが立たない不安
 何歳まで自宅で暮らせるのか、一人になったらどうなるのか、体が弱ったら生活はどう変わるのか。

② 判断を迫られる不安
 住み替え、介護サービスの利用、財産管理など、老後は思った以上に決断が増えます。

③ 頼れる人がわからない不安
 困ったとき誰に相談すればいいのかが決まっていないこと。


なぜお金の話から始まるのか

お金は数字で測れます。年金額、貯蓄額、生活費。数字にすると一時的な安心感が得られます。

しかし、

・どんな暮らしをしたいか
・誰とどう関わるか
・もしものときの備え

これらは数字化しにくく、後回しになりがちです。けれど本当に安心を左右するのは、むしろこちらなのです。


老後の安心は「つながり」で生まれる

70代の一人暮らしの女性は、「倒れたらどうなるのかが一番怖い」と話されました。
連絡先、支援してくれる人、生活の優先順位を一つずつ整理した結果、「夜ぐっすり眠れるようになった」と言われました。不安を減らしたのはお金ではなく、“整理”でした。

老後の安心は、

・お金
・暮らし方
・もしもの備え
・終活
・相続

これらが一本の線でつながったときに生まれます。


まとめ

老後不安の正体は、お金だけではありません。
本当の不安は「見えないこと」から生まれます。

だからこそ、老後生活設計とは単なる資金計算ではなく、「どんな状態でも自分らしく暮らせる準備」を整えることなのです。
早く整理した人ほど、気持ちは安定します。一人で考えないでプロに相談してみてください。あおばファイナンシャルプランナーズには、FPのほか、弁護士・司法書士・行政書士・税理士・宅建士・ケアマネージャーなど様々な士業と連携し相談にあたっています。

老後の安心は、数字ではなく“全体設計”から生まれるのです。