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老後2,000万円問題、30年後はどうなる?

2019年、今から5年前に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」による「老後30年間で約2,000万円が不足する」という試算の報告は、「老後2,000万円問題」と呼ばれて注目されました。

「老後20~30年間で約1,300 万円~2,000万円が不足する」という試算が物議を醸した「いかに老後の資金を形成するか」をめぐる問題のことです。

あくまでも一般的なケースにおける試算なので、各個人によって実際の不足金額は異なりますが、マスメディアで大きく取り上げられたため、不安を感じる方も多いと思います。

平均寿命が伸びて「人生100年時代」と言われる超高齢化社会への突入が予想されています。そんな中、退職給付額(退職金)は減少傾向にあり、1992年度には企業の92%に存在した退職給付制度が、2017年には80.5%の企業にしか存在しない状況です。企業規模が小さくなるほど、退職給付制度が用意されている割合も低くなります。

近年、終身雇用からキャリアチェンジ(転職)が増加傾向にあることや、働き方の多様化によりフリーランス(自営業・個人事業主)が増えていることもあり、退職給付額が少ない、そもそも退職金制度が無い場合も多くあります。そのため、かつてのような「退職給付と年金をベースにして豊かな生活を営む」という老後のイメージは当てはまらなくなると予想されます。

さらに少子高齢化により年金給付の増加も期待しにくく、受給年齢も繰り下げ傾向にあるのでは、と考える人は多いのではないでしょうか。

各人が老後に備えて、自己責任で資産形成を始めるのはまさに急務といえるでしょう。

■ 物価上昇が老後に与える影響

総務省によりますと、家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる10月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月より2.9%上昇しました。電気代などの負担軽減策による補助金の延長等で、上昇率が4か月ぶりに拡大したとのことです。

では、2019年の時点で2,000万円不足していたとして、このところの物価上昇がこれからも続き、毎年2.5%上がっていったと仮定すると、10年後には2,560万円不足する計算になります。さらに20年後には3,277万円、30年後には4,195万円足りない計算になります。つまり、不足する金額はいつまでも2,000万円ではないのです。

あなたの老後はあと何年後からでしょうか?