ここ数日、日本株は勢いよく上昇しています。日経平均株価(Nikkei 225)は新高値を連日で記録し、8月13日には前週比で約7.4%の上昇、43,000円台の大台も突破しました。こうした相場環境では、「今利益を確定して、下がったら買い直せばいいのでは?」という思いが強くなる投資家も多いでしょう。
これはいわゆる利益確定・再投資戦略(タイミング投資)ですが、原則として非効率になりやすいと言われています。
❖理由は
・価格の上下を正確に読むのは困難
・再購入時に価格が下がっているとは限らない
・長期・分散・積立のNISAやiDeCoの本質に反する
・売却時点で非課税枠を消費してしまう
1. タイミング投資の難しさ
「利益が出たから売る」までは簡単でも、「次に下がった時に買う」のは予測が極めて難しいです。しかも下がった後、いつ・どの水準で買うかを判断するのは、プロでも苦戦しています。多くの場合、売却後にそのまま上がり続けて「買いそびれる」ことも多く、長期リターンを逃す可能性があります。
2. NISAの制度的な側面
新NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)は売却しても枠が復活しないため、安易な売却は非効率。
例:100万円分のNISA枠を使って購入 → 利益確定のために売却 → 再投資しても枠はもう戻らない
このため、売ってしまうと非課税の恩恵を最大限に活かせないことになります。
3. 本来のNISA積立の目的
毎月の積立投資は、価格変動に関係なく「時間分散で平均取得単価を平準化する」ことが目的。
「高くなれば売り、下がったら買い直す」は短期的な売買に近づき、ドルコスト平均法の利点を打ち消してしまう。
❖例外的に有効な場合
以下のケースでは「利益確定・再投資」が意味を持つこともあります。
● リバランス
利益が大きく伸びすぎて、ポートフォリオが偏ってしまったとき
例:S&P500だけが急上昇して、株式と債券の保有割合が崩れてしまったとき
→一部を売却して債券など他の資産へ分散
これはリバランスと言ってリスク管理の観点から有効です。
❖効率的な基本戦略(おすすめ)
非課税枠はできるだけ長く保有して育てる
毎月積立は「機械的に継続」が基本(ドルコスト平均法)
市場が下がった時はむしろ買い増しのチャンス
利益確定は「使い道が決まっている時」や「リスクが許容範囲を超えた時」に行う。
❖最後に
「売って、下がったらまた買えば良い」は理屈としては分かりやすいですが、実践が非常に難しく、複利の効果も得にくくなり長期投資としては効率が悪くなりやすいです。
NISAでは、非課税のメリットを活かすために「売らずに保ち続ける」方が、統計的にも成果が出やすい戦略です。
以上