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50代後半の方 大変!! 退職所得控除が無くなるかもしれない!?

この春「退職所得控除が縮小されるかもしれない」との報道がありました。

以前もお話しした退職所得控除ですが、現在政府が見直しを議論していると言われています。退職金課税のどの部分を見直すのでしょうか。また、なくなったらどれくらい税負担が増えるのでしょうか。
今回は、退職金課税のしくみを確認しつつ、控除が縮小されたときの影響について考えてみたいと思います。

勤続年数が20年を超えると控除額が1年あたり30万円増えます。政府は、この20年を超えた部分の控除額の増額をなくし、勤続年数に関係なく一律40万円で計算するよう制度変更を検討しているようです。

iDeCoや小規模企業共済の一括受取も退職所得に該当します。控除が縮小されれば、この一括受取にかかる税額も増えることになります。

では、退職所得控除の縮小による影響を考えてみましょう。

■ 控除が減れば退職所得に課される所得税や住民税は増える

「勤続38年、退職金2000万円」の例で考えてみましょう。
勤続年数による控除があるかないかで、次のように変わります。

【現行制度】

800万円 + 70万円 ×(38年-20年)= 2060万円

退職金が2060万円までは税金がかかりませんので、退職金2000万円は全額非課税で受け取れます。

【見直し後】

  • 退職所得控除額:38年 × 40万円 = 1520万円
  • 退職所得控除額(2000万円 – 1520万円)× 1/2 = 240万円
  • 退職所得にかかる所得税:240万円 × 10% – 97,500円 × 102.1%※ = 142,500円・・・① ※復興特別所得税2.1%
  • 退職所得にかかる住民税:240万円 × 10% = 240,000円・・・②

合計増税額 ① + ② = 382,500円

現行制度なら退職所得にかかる所得税・住民税は0円です。しかし、20年超の控除が縮小されれば、約38万円の大増税負担が生じることとなります。

政府いわく、

ひとつの会社に定年まで長く勤めるのは昭和の頃の話で、今は、一つの会社で長期間働く人は少なく、むしろ転職するのが一般的となっている。しかし「20年を超えて長く働いた方が退職金の税負担が少なくて済む」というしくみのせいで、自由な働き方をしにくく感じる人がいるかもしれない。成長分野があっても、そこに必要な労働力が流れないおそれもある。

とのことです。

そこで労働市場の改革の一つとして、勤続年数による優遇措置をなくそうという案が、政府内の議論で浮上したようです。
しかし、退職所得控除のことを考えて転職するかどうかを判断する人っているのでしょうか。長年働いてやっと手にした退職金、払えるお金が入ったのを見越して大きな税金を取る……!? なんだか政府の思惑が見え見えです。

この大増税は、まさに定年を迎えようとしている50代後半の人にとっては大問題です。
しかし、多くの人にとっては関心が薄いかもしれません。なぜなら退職金をもらうのは20年、30年、40年後と先のことだからです。

増税は、退職金をもらえる時期になってようやく実感するもので、今すぐに影響を受けるものではありません。退職金には「給与の後払い」や「老後の生活費」の確保という意味合いがあるため、税負担を軽減するしくみがとられてきました。これから嘱託などの継続雇用で年収が下がり、年金生活に突入するタイミングで増税されれば、ますます生活が苦しくなり、老後生活設計もままならなくなってしまいます。

退職金の額や家族構成など、さまざまな事情により老後生活設計は変わります。
50代になったら今一度早めの老後生活設計を立ててみましょう。ファイナンシャルプランナーがお役に立てるはずです。