生命保険加入者のお手元に毎年届く「契約内容のお知らせ」の中に、「家族登録制度」のご案内があることに皆さんお気づきでしょうか。実はこちら、特にご高齢の方に登録していただきたい大切な制度なのです。
いったい、どんなメリットがあるのでしょうか。また、家族を登録する制度として従来から存在する「指定代理請求制度」との違いは、どのようなところにあるのでしょうか。2回に分けて、ポイントを簡単に解説します。(前回はこちら)
今回は、「家族登録制度」の詳細、そして登録可能な家族がいない場合について考えていきます。
「家族登録制度」とは
保険会社は原則、家族であっても契約者以外に個人情報保護の観点で契約内容に関する情報を教えてくれません。例えば、保険会社に「父親が入院した場合の保障入っていますか?」と問い合わせても「ご契約者様ご本人以外にはお答えできません。」と断られてしまいます。
しかし、契約者本人が事前に登録した家族であれば、契約内容の確認が必要なとき、登録された家族からの問い合わせに回答してもらうことができます。
高齢の契約者に連絡が取れない場合などには、生命保険会社が登録されている家族へ契約者の連絡先などの確認をします。家族へ連絡がいくことによって、保険金・給付金の請求もれや、契約失効の防止などにつながります。また、契約内容の照会や給付金請求書など、あらかじめ登録された家族は書類の取寄せが可能な生命保険会社もあります。
家族を登録するには、その家族の氏名・住所・連絡先などを登録します。登録できる家族の範囲や人数は保険会社によって異なり「被保険者の戸籍上の配偶者」「被保険者の3親等内の親族」などです。その他「契約者の療養看護に努め、または契約者の財産管理を行っている人」も登録できる保険会社もあります。いざというときの対応が遅れることが避けられます。これが「家族登録制度」のメリットです。
この「家族登録制度」は登録された家族が生命保険会社に契約内容の照会などができるだけであって、受取人に代わって保険金などの請求ができるわけではありません。請求の代理を家族が行う、前述の「指定代理請求人」を指定しておく必要があります。「家族登録制度」についても、登録する予定の家族には説明しておきましょう。
登録できる家族がいない場合
しかし登録できる家族がいない場合はどうすれば良いでしょうか?
「指定代理請求制度」「家族登録制度」を利用できない場合、例えば本人が認知症などで判断能力がなくなり意思表示ができない、などといったときのためには、民法上の「成年後見制度」を利用されることをお勧めします。また、判断能力があるうちに記憶の低下に備えてあらかじめ後見人を指定しておく「任意後見制度」は、「家族登録制度」や「指定代理請求制度」に似たものといえます。
認知症などで判断能力が低下した場合、前述の保険請求手続きの問題だけではなく、ご自身の生活全般や資産管理について支障が生じます。本人はもとより、家族にも大きな負担とストレスにもなります。また生命保険金以外の遺産分割についても、遺言書を書いておくことにより残された家族間のトラブル防止に繋がります。
高齢者やご高齢の親御さんがいるという子ども世代の方は、ぜひ事前対策として「指定代理請求制度」「家族登録制度」「任意後見制度」の活用を検討してみてください。